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大村智ものがたり(馬場錬成著 2015年 毎日新聞出版)「人のまねをしない」という生き方

こんにちは。石井です。

今回ご紹介させていただく書籍は、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智氏の生い立ちを記録したものです。

大村氏は、寄生虫によって引き起こされる感染症の治療薬であるイベルメクチンの発見により、ノーベル賞を受賞されました。
イベルメクチンは、中南米やアフリカで流行していた失明を引き起こす病と、リンパ腺の腫れを引き起こす病を治療する薬として使用されています。
多くの人々を助ける大発明となりました。

 

大村氏は、「人のまねをしない」という信念を持ち仕事を続けてきました。

このような考え方は、私たち営業にとっても普段思考しない視点で大きなヒントにつながるはずです。

1. 自然と触れ合った子供時代

大村氏は、山梨県の出身で小さい頃から、自然と共に生きるということが当たり前のような生活をしていました。

川に魚を取りに行くこと、
農作物を育てる手伝いをすること、
そして甲府盆地の暑さや寒さを感じること、

これらの全てが大村氏の自然と触れ合う生活の原点となっています。

 

また、大村氏は母親の影響も大きく受けており、母親は養蚕(ようさん:ガの幼虫であるカイコを育てまゆを作らせ、それを製糸工場に持ち込み、生糸へ加工する産業)の研究をしていました。その養蚕の研究ノートには、細かすぎるほどカイコの記録がされていたそうです。

このような幼少期の大村氏の経験は、後のノーベル賞受賞に大きくつながることになるのです。

皆さんが、現在営業という仕事をしている中で、自身の幼少期とつながっていることはありますか?自身の幼少期の経験が、現時点の仕事に活きていると感じることはありますか?

 

2. 大学時代

山梨大学に進学し、大村氏はスキーに熱中することになります。この時の出会いが、彼の信念である「人のまねをしない」ということに最も影響するのです。

大学1年の冬、大村氏は横山先生のもとに入門します。横山先生の門下からは、数多くの優秀な選手が輩出されることもあり、大村氏は多くのスキーヤーと時を共にすることになりました。

そこで大村氏が取った行動が、後の人生を大きく変えることになるのです。

その行動とは、優秀な選手に会うたびに、その技術を教えてもらおうと思ったことです。この行動を見た横山先生からいただいた言葉が、大村氏の信念になったのです。

その言葉とは、

「人から教えてもらったことだけをやるのではなく、自分で技術を研究することが大事である。人のまねをしても、その人を超えることはできない。」

というものです。

皆さんにとって、この言葉を忘れることはできないというものはありますか?また、皆さんが営業をする上で大切にしている信念はありますか?

 

3. 社会人になって

大村氏は、社会人になってからも「人のまねをしない」という信念を持ち、新しいことにチャレンジを続けてきました。

教師として最初のキャリアをスタートさせた後も、生徒たちの学ぶ姿に刺激され、自らもドイツ語を学んだり、東京理科大学の大学院に進学したりしました。

そして両親の反対を押し切り、研究者になることを決意し、ついに研究者としての道をスタートさせるのです。

 

一般的に、研究者としては遅めのスタートであったため、大成するはずはないとして、多くの反対があったようです。

しかし、大村氏は「世界を目指す」として、持前の負けず嫌いを発揮して、みるみる実力をつけ、多くの論文を英語で発表するようになっていったのです。

当時、多くの論文を英語で掲載することは苦労があったはずです。

 

しかし、大村氏は「人のまねをしない」ということを信念に掲げていたため、途中でやめることなく新しい道を拓き続けることができたのでしょう。

皆さんにとって、例え反対されたとしても、営業という仕事を続けたいと思う気持ちはありますか?また、その気持ちはどこから湧いてきますか?

 

4. ノーベル賞受賞

大村氏は、微生物の研究をするようになってからは、常にスプーンとビニール袋を持ち歩いていたそうです。

理由は、土の中にいる微生物を研究するためです。

結果として、イベルメクチンという薬を開発することになったわけですが、その薬の開発のきっかけとなった微生物は、静岡県のゴルフ場近くの土から見つけたとか・・・

この微生物の発見、メルク社と北里研究所との共同開発により、数億人の人々を助ける薬の開発へとつながったのです。

皆さんにとって、自身の小さな努力の積み重ねが仕事の成果として実った経験はありますか?

 

5. おわりに

いかがでしたでしょうか。

本日は、営業とは少し違った視点でノーベル賞を受賞された大村氏のものがたりをご紹介しました。

現在、多くの営業は競合との差別化に苦戦しています。商品はコモディティ化し、販売できるお客様も限られているという現状があるかもしれません。

 

しかし、営業はやり方一つで他社の営業と差別化させることは可能です。

そのヒントになるのが、「人のまねをしない」という意識ではないでしょうか。

 

確かに、先輩や上司から良いところを学ぶ、研修やセミナーで学ぶということも大切です。

しかし、学んだことを咀嚼して、新しい技術として使いこなすのは紛れもなく営業本人です。

そこには、きっと「人のまねをしない」という信念が大切になってくると思います。

 

是非、気になる方はご一読ください。
ご自身の営業の信念を思考し、これからの営業で大切にしたい新たな観点を見つけられるかもしれません。

 

本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒大村智ものがたり

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ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
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