ALVAS JOURNAL

デジタル時代の人材マネジメント(内藤 琢磨  2020年 東洋経済新報社) デジタル化を生き抜くビジネス戦略とは?

 

はじめまして、アルヴァスデザインの伊藤と申します。新参者です。

いきなりですが、ここで質問です。

みなさんは、スマートフォンやパソコンなどで一日どのくらいインターネットを利用しているでしょうか?

日本人のインターネット一日利用時間の平均は、4時間22分であり、テレビの平均視聴時間(2時間26分)の2倍に迫ろうとしています。平均を上回っていた方もいらっしゃるかと思います。僕ははるかに上回っていました。笑

現在、新型コロナウイルスの流行により、身近な生活や社会があらゆる場面において変化しています。とりわけ、インターネットやオンラインなどのネット社会が急速に必須となってきています。

また、今まで訪問営業だった方は、会社の意向などでテレワーク、オンライン営業・商談になった方も多くいらっしゃると思います。今の時代は会社の形態やシステムもデジタル化が急激に加速しています。

そして、これからの将来を生き抜くには、デジタルに対する知見や経験を持つ「デジタル人材」になっていくことが必須となってきます。

本コラムでは、「デジタル人材の重要性」について考えていきます。

 

1. 日本のデジタル化の現状と課題

まずはじめに、企業を取り巻くデジタル化の現状や課題について見ていきます。

日本の企業約165法人を対象に「デジタル化による成果が出ているか」といった調査をしたところ、「成果が出ている」と答えたのは全体の10%程度に過ぎませんでした。

(出典:JUAS・野村総合研究所共同「デジタル化の取り組みに関する調査(2019)」)

多くの企業がデジタル化による成果の芽がまだ出ていないのが現状のようです。

しかし、「今のビジネスを継続しつつ、新しいビジネスモデルの開拓を検討したい」と考えている企業は71%もあり、大手企業の5社に1社程度は、抜本的なビジネスモデルの変革・創造の必要性を感じているそうです。

つまり、多くの企業が必要性を感じているものの未だ動き出せず、成果を出すために模索をしているということです。今、そういった将来に対して不安を持っている企業が多いのではないでしょうか。

「2025年の崖」

こんな言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは、2025年にかけて企業の根幹を司る基幹システムのサポート切れが次々と起きると事を見据えて作られた言葉です。

つまり、1970年代から情報システム化を進めてきた為に、当時は最先端であったものが、今となっては取り換えがきかなくなってしまい、様々なシステム課題が想定されているということです。

 

なんと恐ろしいことに、これらの課題を解決できない場合、2025年以降に最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるということがこの図から分かります。

これら上記のデータはコロナ前の経済産業省が提唱しているものです。したがって、コロナ禍が相まって、より急速にこれらの課題に直面しているのが現状である、と言えます。

しかし私たちは、こういった困難な現状に立ち向かわねばならないのです。では、どうしたらよいのでしょうか?

2. 企業の救世主?!「ブリッジパーソン」とは?

さて、「2025年の崖」をご紹介しましたが、その中の一つに「デジタル(IT)人材の不足」という課題がありました。ひとえに「デジタル人材」というけれど、デジタル人材とはどんな人材がいるのでしょうか?

 

しかし、こういったデジタル人材が集まるだけでは、ビジネスが成り立っていきません。

そこで、デジタルで新しいビジネスを作り出す、または業務改革していく上では、それを推進していくことのできる中立型のリーダーが必要といえます。つまり、AIやIoTといった新しい技術とビジネス、データと事業、テクノロジーと経営、事業部と事業部の橋渡しなど、二つの領域を繋ぐ中立的な立場の人のことを「ブリッジパーソン」といいます。

 

それではデジタル時代に必要なブリッジパーソンとはどういう人材なのでしょうか?

デジタルとビジネスを繋げるということは、デジタル人材とビジネス人材という特性の異なる人材を一つのチームとしてまとめあげ、ビジネスを創り上げ、推進していくということです。

実際に、デジタル化の取り組みが先行しているトップランナー企業においては、約45%がIT部門と事業部門の共同チームによって、デジタルビジネスが推進されているという結果が出ています。ここからもデジタル人材・ビジネス人材がうまく一つのチームとして機能することが、デジタルビジネスの促進のキーになると言えます。

そして、これらを束ねる「ブリッジパーソン」こそが企業の救世主となるわけです。

3. デジタルシンキングを身に付けよう

ここまでは今後のビジネスを担うであろう「ブリッジパーソン」について見てきました。

しかし、この「ブリッジパーソン」、すぐに誰もがなれるものでもありません。

さて、このブリッジパーソンになる為に注目されている思考方法があります。

それが「デザインシンキング」です。

「デザインシンキング」は、

「共感」→「定義」→「アイデア」→「試作」→「テスト」

これらを何度も繰り返すことで、より課題解決していくことを目的としています。

例えば、「共感」「定義」のステップでは、ビジネスにおいて顧客に対して共感をし、無意識のインサイトを拾い上げます。つまり、顧客ユーザーに深く入りこむことで「真に顧客にとって価値のある物」に焦点を当てます。

「デザインシンキング」を活用することで、「顧客にとっての価値」に焦点を当てやすくなり、デジタルとビジネスを繋げるための共通のビジョン・価値観を生み出しやすくなります。このビジョンの「共通化」は、デジタル人材とビジネス人材の衝突を解消し、デジタル化を推進していく鍵となります。

4. おわりに

さて、いかがでしたでしょうか。

私はこの本を読んで、「未来を見据えた事前準備をせねばならぬ!」という衝動にかられました。

デジタル化が急速に進んでいる時代。この本ではデジタル時代に向けて、様々な大手企業が実践している具体例をたくさん載せています。ぜひご覧になり、会社・チームなどで実践してみることをお勧めします。

本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒デジタル時代の人材マネジメント

 

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北海道生まれ札幌育ち。2020年9月入社。
大学卒業後、公立教員、某大手アパレル企業にて勤めたのち、プロデューサーとしてアルヴァスデザインに参画。丁寧かつ親切な対応を心掛けています。趣味は温泉巡りで、好きな言葉は「一期一会」

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