ALVAS JOURNAL

【第6回】心をつかむ鍵 ~いま、生き残るための営業術(輸送経済新聞 2021年2月23日掲載記事)

 

「提案書に一番大切なのは理路整然としたロジックだ!」

そう固く信じている営業担当者がいたら、本記事に驚いてしまうかもしれないが、役に立てると確信している。最初に誤解を恐れずに言っておくと、もう論理(ロジカル)だけに頼った提案書を作っても競合に勝ち切ることはできない。
営業担当者には、今よりワンランク上の提案が求められている。

このような経験はないだろうか。
顧客の課題をしっかりと聞き出し、その課題を解決する適切な提案をしているにもかかわらず、コンペになってしまう。その結果、納品する物や納品時期といった条件面、出精値引きなどの価格面での競争になり、結局は商談に敗退してしまう。

私は、こういった経験をしている営業担当者をたくさん見てきたし、私自身も何度も悔しくて唇をかんだ記憶がある。

論理だけでは勝てない

私はロジカルな提案書を否定しているわけではないし、むしろ必要だと感じる。
ただ、重要なのは「ロジカルだけでは勝てない」ということ。
なぜ「勝てない」かというと、最終的に提案の可否を決定するのは人間だからだ。

どの提案にするかを決める際には意思、つまり「感情」が必ず介在する。
ロジカルだけでは感情を揺さぶることは困難なため、提案書は顧客の感情に響く内容にすべき。
実際の提案書を比べてほしい=図。

2つの提案書、どちらの提案に心引かれるか?

提案書Aは
「貴社の物流業務の人・保管場所・管理過程の課題を解決させてください」

という課題解決型の提案だ。

一方、

提案書Bは「貴社の物流業務の支援を通じて『暮らしの中に〝うれしい〟を届ける』お手伝いをさせてください」

というビジョンの実現を打ち出している。
皆さんは、どちらの提案に心引かれるだろうか。
この問いを営業研修で実施すると、90%以上の人が提案書Bに賛同する。繰り返しになるが、人は意思決定をする際、感情が入り込み、よりワクワクする方を選択したくなるのだ。
では具体的に営業担当者はどうすればよいのか。

ここで鍵となるのが前回も解説したが、顧客の真のニーズを探り、顧客のありたいビジョンに伴走する営業スタイルの「インサイトセールス」だ。

提案は未来創造の場

インサイトセールスでの「提案」とは、顧客に提案採用の是非を問うことではない。提案を通して、顧客と「より良い未来を創造していくこと」だ。
そして、その未来を創造するために必要なことは、3点ある。

1つ目は、顧客の理念やビジョンといった「大切にしていること」を徹底的に傾聴すること。

なぜならば、理念やビジョンといった価値観を元にして人は意思決定をしているから。

2つ目は、理念やビジョンといった抽象度の高い話から具体的な提案に
ひも付けるためのアイデアを生み出すこと。

「その理念を実現するには、これをやりましょう」
と具体的につなげていく。営業というのは本来、こういったアイデアを生み出す創造的な仕事だ。

3つ目は、顧客と一緒に考えるスタンスを取ること。

新しいアイデアは営業担当者だけが生み出すものではない。
ぜひ顧客とワクワクしながら未来を共に共創すべきだ。

次回は、どのようにすれば顧客の理念やビジョンを引き出せるのか、具体的な対話法についてお届けする。

代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年(株)アルヴァスデザイン設立。著書に「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」。

RELATED ARTICLES よく読まれている記事

外部の視点からお客様に
クリティカルな意見を言う。
そういう営業は
これからも生き残る。