【第3回】「非対面」 にはこのツールを ~ いま、生き残るための営業術(輸送経済新聞 2021年2月2日掲載記事)
非対面営業が主流になっているいま、私は一つの疑問を呈したい。「対面営業では気にしていた自分の外見を、なぜこれだけ多くの営業担当者が気にしなくなってしまったのか」ということだ。
対面営業では、顧客との商談の前に身だしなみなどの外見をしっかりとセルフチェックしたはず。
だが、非対面営業ではどうだろう。できているとは言い切れない人が多い。
失点をなくそう
なぜそのような疑問を呈したのかといえば、営業活動の過程をひもといてみれば分かる。
営業が直面する商談は大きく分けて3種類ある。
「確実に勝てる商談」
「確実に負ける商談」
そして最後が
「営業次第で結果が決まる商談」だ。
実は多くの商談は、この最後のパターンに該当する。 「営業次第で結果が決まる商談」
の入り口で、大切なことは何か。営業技能はもちろん大切だが、もっと大切なことがある。
それは、顧客視点で「この営業から買いたくない」と感じる、いわゆる不買要因を徹底的になくすことだ。
断言するが、顧客とのたった1回の商談で営業担当者が気に入られることは、まずあり得ない。
顧客からの信頼は、積み重ねるもの。一方、顧客が営業担当者のことを嫌になるのは、たった1回の商談で十分すぎる。
つまり、商談で好感を持たれるための得点を稼ぐよりも、まずは、この営業から買いたくないと思われないために失点をなくしていくべきだ。
外見が不買要因に
では、失点をなくすためには何をすればよいだろうか。
ささいな事と思うかもしれないが、背景を含めた営業担当者の外見や画面映りは不買要因になり得る。
少し考えてみてほしい。
自分が顧客の立場なら暗くて表情が分かりにくい営業担当者を信頼するだろうか。
画面越しに不特定多数の人が映るような環境にいる相手に大切な情報を話すだろうか。
外見を整えることが営業の必勝法だと言うつもりは毛頭ない。
ただ、顧客の不安を取り除くためには、まず外見を整えることがとても大切。
そして、画面上での身ぶり手ぶりも重要になる。
これは有名な「メラビアンの法則」で、科学的にも証明されている。
人は情報を取得する際、55%の比重で「視覚」から情報を取っている。
2番目は聴覚で、比重は38%だから、視覚の重要性が分かるだろう。
残酷な話だが、どれだけ営業トークを磨こうとも、視覚情報に勝るものはないのだ。
そのためにも、在宅勤務であれば、無線LANなどの通信環境をまずは整えるべきだ。
通信環境が悪いと、オンラインでの商談は明らかに精度が低下する。
加えて、ライトや外付けカメラ、パソコンスタンドは必須。
外見や表情もコミュニケーションの一つであるということを心に留め、最適なツールをそろえていくべきだろう。
また、商談で提示する可能性がある資料は、あらかじめパソコン上に全部開いておく必要がある。
商談時になって慌てて資料を開こうとすると、段取りの悪い営業担当者だと思われてしまい、余計な不安を与えてしまうからだ。