ALVAS JOURNAL

オンライン×営業の新たなカタチ ~提案・クロージング編~

みなさんこんにちは。アルヴァスデザインの西山です。

「オンラインツールを活用した営業活動で工夫すること」も今回が最終章です。

今回のテーマは「提案・クロージング」です。

 

アプローチができ、ヒヤリングも重ねていざ提案…という一般的なプロセス。これらはオンラインではどのように変化するのか?また、オンラインだからこそ気を付けるべき点は何か?今回はこのあたりをクリアにできればと思います。

先に結論を述べると、オンライン商談における提案・クロージングの難易度は高くありません。
ただ、そのためには大切なポイントをおさえる必要があります。

 

【全4回】 オンライン×営業の新たなカタチ

  1. 心得編
  2. アプローチ編
  3. ヒヤリング編
  4. 提案・クロージング編

 

営業プロセスにおける提案・クロージングの重要性

一般的な営業プロセスとしてよく挙げられるのは、「アプローチ⇒ヒヤリング⇒提案⇒クロージング」です。基本的に、アプローチに苦戦されている方の数は多いです。提案、クロージングが苦手な営業パーソンの方も少ないながらも一定数いらっしゃいます。

 

なぜ、アプローチに苦戦されている方の数が、クロージングのそれよりも多いのか。

その答えは、営業プロセスの形を考えてみることで紐解けていきます。

そもそも営業プロセスはマーケティング用語でいうところのファネル(漏斗)の形をしているため、アプローチからクロージングまでにいたる間で数が減少する傾向にあります。

そうなると、クロージングの経験数は他のプロセスと比べて圧倒的に少なくなります。そして、必然的に経験が不足し、その結果、苦手意識を持つ方は多くなるのです。

 

一方で、重要性という観点ではどうでしょうか。

アプローチ・ヒヤリングフェーズを通過した先に提案・クロージングフェーズがあるため、クロージングはプロセスとしての重要性は極めて高くなると言えます。

後半のフェーズによって失注してしまった場合、前半フェーズでの努力が成果に結びつかないということになりますので…

そんな重要なプロセスを、オンライン上でできるのか?対面ではなくて伝わりきるか?

この記事をご覧になっている方は、恐らくこのようなことをお感じになられているのではないでしょうか。

それでは、まずはオンライン×提案・クロージングの実情はどうなっているのかについて、次章でお話ししたいと思います。

 

オンライン×提案・クロージングの実情は?

まだ十分に浸透しきっていないオンライン商談ではありますが、実際にはどの程度導入されているのでしょうか。

お客様目線でオンライン商談を受けた数について調査したアンケートがありますので転載します。

 具体的にどのシーンでオンライン商談を体験しましたか?

出典:https://www.broom-online.jp/c_room/20191107_01

 

このグラフからわかることは2つです。

1つは、初回アクションとアフターフォローの体験数が圧倒的に多いということです。推察ですが、遠隔地との間で商談を行う際やスピード感を求められる際、オンラインでの商談を活用する方が多いのかもしれません。

2つ目は、「他プロセスと相対的比較すると、オンライン商談では提案・クロージングは行われることが少ない」ということです。

これはあくまで主観ですが、

  • 日本の風土として「訪問を善」と捉える文化は根強く残っていること
  • 特に提案が重要と思っており、重要なプロセスは訪問して行った方がいいと考えている営業が多いこと

この2つが要因ではないかと推察しております。

 

見方を変えれば、オンライン営業という土俵の上で、提案・クロージングのフェーズで戦っている人が少ないとも受け取れます。

 

上記の調査は2019年1月時点のものですが、新型コロナウイルスの影響もあり現在はオンライン営業を余儀なくされているケースがほとんどではないでしょうか。そうなると、この提案・クロージングフェーズをオンラインで円滑かつ効果的に進めることができれば、それだけで他社にない強みとして差別化を図ることができるのではないでしょうか。

 

それでは、「提案・クロージング」プロセスにおいて、具体的にどのようなことを押さえればいいのかについて、次章でご説明したいと思います。

「オンライン提案・クロージング」のポイント

(0)オンライン営業の基本スタイルとは?

本題に入る前に、ここでオンライン営業の基本スタイルについてお伝えします。

対面営業の場合、コミュニケーションの主役はお客様と営業です。もっとシンプルにいうと「人」です。営業活動をする上で、例えば資料や商品カタログを持ち込むことはあるかと思いますが、営業が伝える情報や意見の補足的なポジションになることが多いです。

それはコミュニケーションをする際、目に多く映る存在が何か、ということと紐づいているからだと思います。

 

一方、オンライン営業の場合は、主役が「資料」になります。いわゆる「人」からの情報・意見が補足的なポジションになります。理由は上記と同じく、目に映る割合が圧倒的に多いからだと思います。

つまり、オンラインにて(提案・クロージングに限らず)営業を行う場合は、資料の精度が勝敗を左右する要因になり得るということです。

 

前提が整ったところで、これより項目に分け「提案・クロージング」のポイントを記載します。

 

(1)オンライン商談:提案のポイント

まずは「提案」フェーズのポイントの解説をします。

提案フェーズにおけるポイントは次の2つです。

 

  • 文字を大きくし、画像を多く使用する
  • お客様にバトンを渡すページを作成する

 

・文字を大きくし、画像を多く使用する

一般的な提案書、企画書は、プレゼン相手に伝わり、かつ営業に代わり決裁者までの静的な営業をしてくれる存在です。そのため、必要な情報を正確に伝えるため、文字数が多くなりやすい傾向にあります。そんな中、長文だと伝わりづらいため文章を端的にする、などの努力をされている方は多くいらっしゃるかと思いますが、オンライン提案では、そこに「文字を大きくする」という要素を付け加えます。

理由は一言で「制限の問題」です。

 

(当たり前ですが)人は、画面を見続けると疲れます。疲れると、どんなに素晴らしい提案書であっても、話が入ってこなくなります。そのため、まずは作成する資料に「疲れない」工夫をこらす必要があります。そのひとつが文字を大きくすることで、細かい文字を見続けることによるストレスを与えないことが大切になります。

簡単ではあるものの、「オンライン営業は資料が主役になる」ことを考えると効果的かと思います。

 

・お客様にバトンを渡すページを作成する

お客様にバトンを渡す理由について、先に結論から申し上げると、「人はオンライン上で話を聞き続けられない」からです。

話がやや逸れますが、我々は業種柄、オンライン研修についても日々知見を広げております。オンライン研修でも全く同じことが言われており、それは「人は10分以上、人の話を聞き続けられない」というものです。これは画面越しのストレスによる集中力の低下のことを指しています。研修における一番シンプルな対処法は、受講者への問いかけ、ミニディスカッションを挟むなどがあります。総じて、受講者(聞き手)にバトンを渡し、双方向性を保ち集中力を下げない工夫です。抽象度を上げると、営業でも同じことが言えるのではないでしょうか。

 

「営業はヒヤリングが重要」とはいえ、提案時は価値を言葉にして伝えることが求められるのが営業です。かつ、提案を練ってきた場合ほど、それを理解してほしいため話が多くなる傾向にあります。

対面営業であれば熱意も伝わるし、ストレスもかかりにくいため、比較的理解してもらいやすいです。しかし、オンラインの場合は話が変わります。話が続き、集中が切れてしまった瞬間、その後の話が頭に入ってこなくなるのです。

その対策として、対面営業では細かな合意形成も含め確認をすることをされている方が多くいらっしゃるかと思います。それを口頭でお伝えするだけでなく、スライドや資料に挿入することで、完全にバトンをお客様に渡すことができます。

そうした工夫により双方向性を作ることで、集中力の低下を防ぐことができます。

 

(2)オンライン商談:クロージングのポイント

次に、クロージングのポイントについてお伝えします。

すでに、クロージングフェーズを非対面(電話等)で行っている方も多くいらっしゃるかと思います。本質は変わりませんので、今回は特に「会うことができない」状況を加味したポイントをピックアップしました。

 

クロージングのポイントは次の2つです。

 

<クロージング>

  • 時期に合わせた連絡を心掛ける
  • ライトな連絡を増やす

 

・時期に合わせた連絡を心掛ける

お客様の状況を、お客様目線で考えると、連日のコミュニケーションがPC上になっており、在宅やサテライトオフィスでの仕事を余儀なくされているかたが多くいらっしゃるかと思います。お客様の中には、PCを見続けること(画面を見続けること)は心身ともに負荷が高く、かつ自宅など慣れない環境での仕事ということもあり、ストレスが溜まっている方が多い傾向にあります。

そんな中、クロージングと称しアポイントを取ろうとする行為は、場合によっては煙たがれる可能性があります。特に昨今の状況下では、社内コミュニケーションが円滑に回っていないため稟議や情報共有なども滞り時間を要していることが想定されます。そのため、営業から連絡するタイミングは特に慎重に選ぶ必要があります。

 

その前段階として、商談中に「いつ決定されるのか」などの意思決定の時期を正確に把握しつつ、それに合わせた連絡や情報提供をすると効果的だと言えます。

 

・ライトな連絡を増やす

一見、上記と逆のことを述べているので違和感があるかもしれませんが、慎重になりすぎて連絡をおこたると、お客様の中で営業の存在は時間と共にかすんでいきます。そのため、テレビ会議ツールを使用した場をセットすることも「クロージングに有効な情報収集、接点づくり」という観点では重要ですが、それよりもメールや電話などの「ライトな連絡」を行い、小さな情報共有をしたほうが効果的だと考えます。

顔を合わせて話ができない環境にある以上、お客様からの信頼は「営業の声や姿勢」がカギになります。お客様の立場に寄り添いながら、計画的に(お客様にとっても価値がある形で)コミュニケーションをとることをおすすめします。

 

まとめ

今回お伝えした内容を一言でまとめると、「提案・クロージングでは、特にお客様目線に立つ」ということです。社会環境、業務環境、社内環境が変われば、必然的に思考や意向、意思決定にも影響があります。

このような時だからこそ、いかにお客様目線に立てるかが営業の頑張りポイントではないでしょうか。ツールが拡充し、手法が変わりつつある今だからこそ、営業の在り方が問われていると感じております。

オンライン営業という土俵を勝ち抜き差別化を図る一助として、オンラインでの提案・クロージングをぜひ挑戦いただければと思います。

 

【全4回】 オンライン×営業の新たなカタチ

  1. 心得編
  2. アプローチ編
  3. ヒヤリング編
  4. 提案・クロージング編

 

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