【2022年イベントレポート】ドラッカーの会計とマネジメントの話をしよう!~マネージャーが今身に付けたい「会計」の活かし方~(5月26日開催ウェビナー・イベントレポート)
こんにちは、荻原です。
5月26日にオンラインウェビナーが開催されました!
本日は、その内容をレポートしたいと思います。
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■イベント概要
・日程:2022年5月26日(木)
・タイトル:ドラッカーの会計とマネジメントの話をしよう!
・形式:ウェビナー(ZOOM)
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今回のウェビナーでは、弊社のパートナーとして、マネジメント研修を監修いただいている、PROJECT INITIATIVE株式会社代表の藤田勝利氏と合同イベントというかたちで実施しました。
そして、ドラッカー マネジメントの原理原則をベースに、マネージャーが今だからこそ身につけるべき「会計知識」についてお話しいただいきました。
目次
1. はじめに「なぜマネージャーは会計知識を身につける必要があるのか?」
「会計」という言葉は、もしかすると多くのマネージャーにとって馴染みのない言葉かもしれません。
実際に、「会計」という言葉の意味を調べてみましょう。
企業や公的機関などの経済主体が、経済活動における金銭などの収支を認識して記録し、さらに結果としての財政状況や経営成績を利害関係者に報告する一連の行為。
ここから類推すると、企業経営者や経理部で広く使用される言葉のような印象を受けます。
それは、本当でしょうか。
言い換えると、マネージャーは職種問わず、会計知識を身につける必要があるのでしょうか?
答えは、「会計知識はどのマネージャーも身に付けるべき」です。
ただ、それはなぜでしょうか。例えば、人事部のマネージャーは、人事のことだけを考えていれば良いのでは?と思いがちです。
でも、どのマネージャーも会計知識を身に付けるべきだとする確固たる理由があるのです。
それは、会社を経営する以上、会計はどの部署の仕事も切って切り離せるものではないからです。つまり、どの部署のマネージャーであっても、会計は切れない関係にあり、どの仕事をしても切り離せないものだからです。
確かに、会社の一般管理費、特別利益や損失などの細かい数字まで常に把握しておく必要はないかもしれません。
ただ、それらの数字がどのように仕事にインパクトするのかは、肌で感じる必要があるのです。
例えば、飲み会の後にしめにラーメンを食べる、いわゆるしめラーをした翌日、体重計が示す数値が、昨日のそれよりも高いことは、肌で感じることができます。
会社の会計の数字も同じです。
会計の数字が動くことで、どのように仕事にインパクトがあるのかを感じることが必要なのです。
そして、どのように仕事にインパクトがあるかというのは、
具体的には、
「これは利益を生み出す仕事なのか?」
それとも、「ただ何も生み出さないコストとしての仕事なのか?」
ということを考えることにもつながります。
「新たな価値を創造し、利益を生み出しているか否か」という着眼点をもつためにも会計は必要な基礎知識となるのです。
2. 営業現場の売上という数値も同じような感覚で
会計の知識や知見がないと、営業現場の売上という「数字」を見誤って捉えてしまうことが起きてしまう可能性があります。
例えば、部下から計上された「数字」が未達であったとします。
皆さんがマネージャーだったらどうしますか?
- 来月に、未達分の数値を補填するように指示をしますか?
- それとも、決算月までに補填するように指示をしますか?
もしくは、来期に未達分は持ち込んでも良いから、目の前のお客様との関係性を重視するように指示をしますか?
これらに正解はありません。
しかし、短期的に売上を出すという視点しかないマネージャーにとって、来期以降のことを想定したチームマネジメントをすることはできません。これは逆もしかりです。
会計の知識を身に付け、その売上数値が将来的に、どのように会社にインパクトするのかを思考できるマネージャーは、目の前の数字を取りに行くという判断以外のことも思考することができるのです。
3. Q&Aコーナー
本セミナーでは、ご参加頂いたお客様からいくつか質問を頂き、藤田氏が回答をする形式をとらせていただきました。
本記事では、その一部を抜粋してご紹介させていただきます。
Q:ドラッカースクールには会計のクラスは存在しますか?
A:もちろん、あります。
Q:ドラッカースクールで会計のクラスを設けている目的や理由は何であると藤田さんは考えていますか?
A:ドラッカースクールは創設メンバーの一人であるドラッカーの名前が冠されていますが、経営大学院(MBA課程)ですので、会計やファイナンスンスの授業があるのは当然です。
会計の知識を使って財務諸表を確認することで、経営者が下した判断が倫理的に正しいのか否かを考えられるようになるからです。
Q:藤田さんが当時受けた会計のクラスでの印象的なエピソードや、先生からのコメントについて教えてください。
A:企業の株価が適正かどうかを分析する「Finaicial Statement Analysis」というクラスでの出来事です。
当時クラスには、数学がとても得意なインド人の生徒がいました。
彼は、持ち前の数学スキルを活用し、即座にExcelを用いて計算をし、課題を提出しました。しかし、先生から評価は「B評価」でした(S→A→B→Cの順で評価される)。
当然、自分自身の数学スキルに自信のあったそのインド人は、先生に異議を申し立てました。その時の先生のコメントが私の中でとても印象的でした。
「財務諸表を読み、数字を分析することはできて当たり前のことです。それよりも大事なことは、数字以外の部分です。例えば、会社の倫理観や組織風土などです。そこを財務諸表から読み解きあなたの意見と一緒に提出していただかないと良い評価はつけられません。」
自分の中で人間組織の経営と会計という科目が初めてつながって感じられたという点でとても印象に残りました。
Q:部下と数字について話し合うことは、定性的なことについて話し合うことよりもインパクトが強いと感じています。そのため、本当に大切なものが見えなくしてしまうのではないかと思っています。その前提に立った時に、マネージャーが部下とのコミュニケーションで気をつけないといけないことは、何だとお考えですか?
A:おっしゃる通り、数字目標は頭に残りやすく短期的には効果も出やすいので、そのインパクトが強くなりすぎる危険性があり、注意が必要です。
短期と長期のバランスを意識して、数字的な目標とその背景にある意図や目的を早い段階から部下に共有してあげたほうが良いかなと考えています。
具体的には、
- 「今、この数字が何の目的のために必要なのか?」
- 「この数字が長期的にはどういった意味合いを持つのか?」
- 「この数字がお客様にとってはどういったメリットにつながるのか?」
といったことなどです。
4. 参加者からの声
セミナーにご参加頂いたお客様からは以下のようなお声を頂戴しております。(一部編集)
・会計を見る際に、短期的な視点だけでなく長期的に見ることの大切さを再認識できた。
・「会計」に関する意識が低かった事を今更ながら猛省しております。会計は全スタッフを対象にすべきテーマだと本日確信しました。本日はありがとうございました。
・会計が数字だけではないと改めて認識し、数字の苦手意識がやや解消されたように思います。
5. まとめ
会計とマネジメントがいかに綿密な繋がりを持っているのかを知っていただけたかと思います。マネージャーにとって大切なスキルではありますが、数字の計算や知識が絡んでくる関係上、すぐに身につくスキルではありません。
日々の業務に活かしながら、徐々にスキルとして昇華させていくと良いのではないでしょうか。
また、本記事では書ききれませんでしたが、講演の中では、他にも多くの質問がありました。藤田氏も自身の経験を元に回答していました。
詳細を知りたい方は、「アーカイブ視聴希望」と記載の上、弊社までお問い合わせください。