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陽明学のすすめ~人間学講話「渋澤栄一」~(深澤賢治著 2013年 明徳出版社)~論語と算盤で日本経済を作った男~

こんにちは、石井です。

本日は、「陽明学のすすめ」というシリーズ本(計8冊)の第五回目です。

早速ですが、陽明学という学問を聞いたことはありますか?

陽明学とは、中国の明代に、王陽明という人物がおこした学問の1つです。

この学問は、時代を経てもなお、多くのビジネスパーソンに愛読されています。

特に、陽明学からの学びを経営に活かして大活躍されている方も多いと言われています。

今回は、「陽明学のすすめ」シリーズの第五回として、人間学講話「渋澤栄一」をお伝えします。

第一回:経営講話「抜本塞源論」
第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」
第三回:山田方谷「擬対策」
第四回:人間学講話「河井継之助」
第五回:人間学講話「渋澤栄一」←今回はこちら
第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
第七回:人間学講話「佐藤一斎」
第八回:人間学講話「中江藤樹」

 

目次

    1. 渋澤栄一という人物

    渋澤栄一は、1840年に現在の埼玉県深谷市血洗島(ちあらいじま)で生を受けました。家系は裕福な農家でした。

    1931年に数え年92歳でこの世を去りましたが、長きにわたって日本経済に貢献した渋澤栄一の功績は、現代にも受け継がれています。

    その証拠に、渋澤栄一が創立に携わった多くの企業が現在でもなお会社として存続し、日本経済を支えています。身近なところで言うと、日本に銀行という制度を作った人物こそ渋澤栄一です。

    また、2024年度上期には新一万円札の肖像画が福沢諭吉から、渋澤栄一に変わります。これは、渋澤栄一が日本経済に大きく貢献したと言える大きな証拠にもなるでしょう。

    2. 何事も行動が大切

    日本経済に大きな功績を残した渋澤栄一ですが、際立って素晴らしい点としては「行動力」にあると思います。

    本書によると、渋澤栄一は陽明学の「知行合一」を意識して、日々の仕事に当たっていたようです。「知行合一」とは、陽明学の言葉で、「知識と行動の一致」を現しています。詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
    >第一回:経営講話「抜本塞源論」

    知行合一の極地を論語によって学び、自分の実業は知行合一たらんと目指した

    渋澤栄一の功績の中でも、知行合一がはっきり表れていることの一つにパリ万博への参加があげられます。

    渋澤栄一は、パリ万博で学んだことの多くを日本に持ち帰り日本の経済を作りました。その1つが、銀行であり合本という制度です。また、エレベーターやエネルギーの技術なども肌で感じ取り、学び、日本に持ち帰りました。

    現代の私たちも、何かを学ぶために現地に赴くことがあります。しかし、その学びを渋澤栄一のように体現しきることはできているでしょうか。学びを実践に活かすことは、並大抵のことではありません。

    私たちは、渋澤栄一の学びを行動に変えて、社会に貢献していく姿勢を強く見習わなければならないのかもしれません。

    3. 道徳が先であること

    道徳は、何より先なのか?

    渋澤栄一は、利益と道徳のどちらが先かという問いに対しては、間違いなく「道徳が先である」と言い切っています。

    これは、別の表現でも本書に掲載されています。

    誰でも事業を起こす時には、利益をもとにしないで義によって考える

    私たち営業パーソンは、売上目標を持っていることがほとんどです。

    そして、これを達成すると、給与や賞与に反映される仕組みです。これらを利益とすると、その前にあるべきことが道徳であるというのが渋澤栄一の考えです。

    まずは、お客様のために何ができるのか?どのような貢献ができるのか?

    これらのことを考え、行動しつくすことで、結果として生まれるのが利益です。

    渋澤栄一の考えの元である、「論語と算盤」は現代の営業パーソンにも糧となる学びがあるのです。論語と算盤についての記事はこちら。
    >現代語訳 論語と算盤(渋沢栄一 2010年 ちくま新書) 不透明な時代を生き抜くバイブル!営業パーソン必見の書!

    4. おわりに

    いかがでしたでしょうか。

    今回は、第五回として渋澤栄一の人物像、考え方を中心にお伝えしました。

    現代の日本経済に、最も影響を与えた一人だと言えるのが渋澤栄一です。

    「私たちの日々の生活は、渋澤栄一の功績あってこそ」と言っても過言ではないのです。

    その背景には、陽明学をはじめとする道徳の精神がありました。まさに、陽明学をビジネスに活かして成功させている象徴と言えるでしょう。

    これからも、「陽明学のすすめ」シリーズでは、実際に陽明学を活かしてビジネスを成功させた方々の本をご紹介します。

    陽明学を活かして、良いビジネスを創り出していきましょう。次回は、第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」です。

    第一回:経営講話「抜本塞源論」
    第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」
    第三回:山田方谷「擬対策」
    第四回:人間学講話「河井継之助」
    第五回:人間学講話「渋澤栄一」←今回はこちら
    第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
    第七回:人間学講話「佐藤一斎」
    第八回:人間学講話「中江藤樹」

     

    本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒陽明学のすすめⅤ

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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