ALVAS JOURNAL

はずれ者が進化をつくる ~生き物をめぐる個性の秘密~(稲垣栄洋著 2020年 ちくまプリマー新書)

こんにちは、土岐です。

昨今、「個性の時代」と叫ばれる回数が増えた気がしています。

過去には画一化された、営業集団が重宝される時代がありました。しかし、現在は営業パーソンにも各々の「個性」を活かすことが求められています。

「個性」と簡単にいうものの、いったい「個性」とは何なのでしょうか?

生物の世界を見てみましょう。

生物の世界では、「個性」という言葉は「多様性」と言い換えられます。

多様性とは「いろいろなものがある」ということです。

いろいろな種類があったり、いろいろな性質があったりすることを多様性と言います。

ただ、生物の深化を遡っていくと、人間も昆虫も植物も、すべての生物は「ルカ」と呼ばれる小さな単細胞生物の祖先にたどりつくと考えられています。

たった一種類の微生物が元になって、こんなにも多様な生物の世界が創られたなんて驚きですね。

今回は、日本の植物学者で雑草を研究されている、稲垣栄洋さんの著書から「個性の秘密」を訪ねてみましょう。

この記事を読むと、少しだけ広い視野で自分を俯瞰して見ることができるかもしれません。

 

目次

    1. 個性とは何か

    あなたは雑草を育てたことがありますか?

    私はありません(笑)

    雑草は、庭にいくらでも生えている厄介な存在であり、育てるなんてこれまで考えたこともありませんでした。

    雑草を研究材料としている稲垣さんは、そんな雑草を育てることがあるそうです。雑草は放っておけば育つから、育てるのは簡単だ、と思うかもしれません。(私はそう思っていました。)

    ところがそれは大間違い。雑草を育てるのは、実はなかなか難しいそうです。

    雑草を育てるのが難しい理由は、私たちの思い通りにいかないから。

    種を播いても芽が出てこないのです。

    人間が品種改良をしている野菜や花の種は、人間が発芽に適していると考えた時期を予め想定しているため、人間の思い通りに芽が出ます。

    一方で、雑草は芽を出す時期を自分で決めます。そのため、芽が出る時期はバラバラで、早く芽を出すものがあれば、遅れて芽を出すものもいる。

    忘れた頃に芽を出すものもいれば、いつまでも芽を出さずに眠り続けているものもいる。これでは全く足並みが揃いませんね。

    このバラバラな性格は人間世界でいう「個性」と呼ばれるものかもしれません。

    雑草はとても個性豊かです。そういえば聞こえはいいですが、管理する存在としては、バラバラで非常に扱いにくい存在です。

    2. 自然界は個性にあふれている

    バラバラな性質のことを「遺伝的多様性」というそうです。個性とは「遺伝的多様性」のことであり、多様性とは「バラバラ」なことです。

    どうして「バラバラ」がいいのでしょうか?

    自然界には、学校のテストのように単独の「答え=正解」は存在しません。雑草にとって、早く芽を出したほうがいいか、遅く芽を出したほうがいいかの答えはないのです。

    環境が変われば、早い方がいいときも遅い方がいいときもあります。どちらがいい、という答えがないので「どちらもある」というのが雑草にとっての正しい答えになります。

    だからこそ、雑草はバラバラでありたがるのです。どちらが優れている、どちらが劣っているという優劣はありません。むしろ、バラバラであることが強みです。

    そして、私たち人間の世界も、答えがあるようでないことのほうが実は多いのです。

    • 仕事で失敗してしまった
    • あのとき、ああしておけば…
    • あんな態度をとらなければ…

    などなど、失敗したときに自分の行動が「正解」ではなかった、と感じるときがあるかもしれません。

    しかし、本当に「正解」と思う行動が良かったかどうかは誰にもわかりません。今は失敗だと感じていても、後々成功に転じる可能性もあります。

    どうしても「答え」に囚われがちな世の中ですが、本当は「答え」なんてどこにもなく、何が正しくて、何が優れているかなんてわからないのです。

    3. たった一つの個性

    この地球に生まれた、あなたの個性は世界でたった一つのものです。同じ個性は二つとありません。しかし、世界には何十億人もの人がいます。本当に同じ個性は二つとないと言い切れるのでしょうか?

    私たちの特徴は、すべて遺伝子によって決まります。

    人間はおよそ二万五千の遺伝子を持っているとされ、その二万五千の遺伝子の違いでさまざまな特徴が生み出されます。

    この遺伝子が集まって形づくられる染色体。子供は親から一対につき二本ある染色体のうちのどちらかを引き継ぎます。父親から一本、母親から一本の染色体を引き継いで、二三対の染色体を作るのです。

    この二三対の組み合わせの違いでどれだけの多様性を作りだせるでしょうか?

    なんと、七十兆を超える組み合わせが作れるのです。

    二つの染色体の一つを選び出す過程で、染色体と染色体の間でその一部が交換されることもあるので、こうなると組み合わせは無限大と言えます。

    ですから、この地球上にどれだけたくさんの人が居ても、あなたの代わりになりうる存在はいません。

    長い人類の生命の歴史の中でも、あなたと同じ存在は過去にも未来にも生まれません。この地球の歴史の中でたった一つだけ存在するほかにはない個性なのです。

    そう考えれば、あなたが持つ個性に意味がないはずがないですよね。たとえ誰かがあなたの個性に意味がないと言い放ったとしても、あなたの個性には必ず居場所があります。

    そして、必ず意味を見つけ出すことができるはずなのです。

    私自身、営業としての個性を発揮することが難しいと感じており、その期間は「自分が輝ける居場所はどこにもないのかもしれない」とネガティブな思考に陥っていました。

    ただ、自身が得意な領域を見つけ出し、仕事で個性を活かすことができるようになると、自身が最大限に楽しめる分野で能力を発揮することこそが、お客様や会社にとっての最大価値を提供することができると思えるようになりました。

    結果的に自身の輝ける居場所を見つけることができたのです。

    4. おわりに

    いかがでしたでしょうか?

    生物学から見る「個性」の世界を覗くと、「どうしてこんなちっぽけなことに悩んでいたんだろう」と私は感じました。私の個性にも生かせる場所がきっとある、そう思えた一冊です。

    あなたにも「個性」の世界に少しでも興味をもっていただけたら嬉しいです。

    本記事でご紹介したのは本書の一部です。もっと詳しく知りたい方は、ぜひ購入してみてください!

     

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    土岐優

    石川県金沢市出身。2022年2月入社。
    音楽大学(ハープ科)卒業後、ファンマーケティングのリーディングカンパニーに勤めたのち、プロデューサーとしてアルヴァスデザインに参画。お客さまと向き合い続けることを大切にしています。趣味は読書、Webデザイン。好きな言葉は「強がらなくても大丈夫。どんなあなたも大好きだから。」

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