基督信徒のなぐさめ(内村 鑑三著 2021年 岩波書店)~逆境に立ち向かう魂の書~
こんにちは。石井です。
今回は、キリスト教の思想家である内村鑑三の告白本である「基督信徒のなぐさめ (岩波文庫) 」をご紹介します。
はじめに、お断りしますが本書を読むと魂が燃え滾(たぎ)ります。そのくらいの威力のある本です。
私は、本書を内村鑑三の全集40巻の第2巻にて読みました。キリスト信徒である内村鑑三が、人生の逆境の際にどのようにそれを考え、苦悩し、乗り越えたのかが書かれています。
生きていると、生活や仕事の中で逆境の連続です。ただ、それを乗り越えようとすることが人生を面白いものにするとも、豊かなものにするとも言えます。
では、内村鑑三の魂を読んでいきましょう。
目次
1. 本書の構成
本書は、6つの章から成り立っています。
第一章:愛するものゝ(の)失せし時
第二章:国人に捨てられし時
第三章:基督協会に捨てられし時
第四章:事業に失敗せし時
第五章:貧に迫りし時
第六章:不治の病に罹りし時
これらの章のタイトルを読むだけで、どれだけ内村鑑三が人生で苦悩し、その中で生き抜いたのかを感じることができます。
本コラムでは、これらの全てをご紹介することはできませんが、私が特に感銘した部分をお伝えします。
2. 苦悩のあとに
前章でお伝えしたように、内村鑑三はさまざまな苦悩を経験します。それらの経験を元に告白的に書したのが「基督信徒のなぐさめ」です。
本書の中で、内村鑑三は「愛する者を失ったり、国に裏切られたりした。だけど、その後回復すると、国への愛は一層増した。また、愛する者の肉体はなくなったが、その心と自分の心は合体した。(意訳)」と述べています。
また、本書において詩人シルレルの言葉を引用しています。
勇者は独り立つ時最も強し
いかがでしょうか。
私たちは、生きている中でさまざまな逆境に出会います。しかし、それを真正面から受け入れ、苦しみ、乗り越えると、逆境の前よりも大きなパワーをつかみ取ることができるのです。
確かに、その逆境の最中では、「なぜ、自分だけが?」と思うかもしれません。
しかし、シルレルの言葉を引用しているように、「勇者は孤独の時こそ強い」のです。むしろ、「孤独でなければいけない」と言えるでしょう。
これは、内村鑑三の下記の言葉からも推察できます。
墓に入る日まで、独立であらねばならぬ。
つまり、私たちは逆境の中で、孤独の中で、強く立ち上がらなければならないのです。
3. 事業とは何か?
内村鑑三は、事業をどのように捉えていたのでしょうか。本書の他に、「後世への最大遺物」という書籍でも、これらを感じ取ることができます。
本書によると、事業とは「宇宙の神を信じて、万人のためにすること」です。
そして、内村鑑三はこの目的を外さない限り「失敗はあり得ない」「成功は必然である」と述べています。
これは、内村鑑三の世間に対する皮肉も混ざっていると推察できます。つまり、私利私欲のために事業をする人が多く、それ故に失敗するからです。
私たち営業パーソンは事業の一翼を担います。いや、営業とは事業そのものを創る仕事とも言えます。
そんな私たちは、「事業とは何か?」を問い直す必要があるのではないでしょうか。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
本日は、内村鑑三の「基督信徒のなぐさめ」をお届けしました。本書は、やや難解です。私は、全集で読みましたが旧字も多く含まれており、なかなか読み切るまで大変です。
しかし、このような偉人の想いを簡単に理解することは、容易くはありません。何度も読んで、それを実践してみて、また考えてみて…このように繰り返すことでなんとなく本の内容をつかめてくると思います。
最後に、内村鑑三の事業に対する素敵な言葉をお届けします。
事業は精神の花なり果なり
精神より自然に発生せざる事業は事業にして事業にあらざるなり
事業とは我等が神にさゝ(さ)ぐる感謝のさゝ(さ)げ物なり
気になった方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。また、内村鑑三の書籍はこちらのコラムでも紹介しています。
代表的日本人シリーズ
第一弾:西郷隆盛編
第二弾:上杉鷹山編
第三弾:二宮尊徳編
第四弾:中江藤樹編
第五弾:日蓮上人編
本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒基督信徒のなぐさめ (岩波文庫)
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営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。