同調圧力の正体(太田 肇著 2021年 PHP研究所)第二回「同調圧力の傾向と対策例」
こんにちは、高橋です。
全三回にわたる「同調圧力の正体(太田 肇 著2021年 PHP研究所)」の第二回になります。
本日は、「同調圧力の傾向と対策例」を考えてみます。
本日は、新型コロナウイルスによって加速する「同調圧力」の傾向と、その対策例についてお伝えしていきます。
第二回:同調圧力の傾向と対策例←今回のコラムはこちら
1. 同調圧力の意味と原因(前回の振り返り)
・同調圧力とは?
同調圧力とは、
特定のグループで意思決定や合意形成を行う際に、暗黙のうちに多数派の意見が優先され、決議されること
です。
・同調圧力の背景にある原因とは?
1つ目は、「閉鎖性」です。
ある特定のコミュニティに属し、その中でしか通用しない常識や考え方に、知らないうちに染まってしまうことです。
2つ目は、「同質性」です。
上意下達のように、組織で同じ意見や考え方を持つことがよしとされることを指します。
3つ目は、「未分化」です。
他人は他人、個人は個人といったような区別した考え方ができないことを指します。
同調圧力の意味と原因については、ご理解いただけましたでしょうか。
具体例を知りたい方や詳しい内容を見たい方は、ぜひ「第一回:同調圧力の正体とその原因」をご覧ください。
2. コロナが加速させた「同調圧力」
さて、ここからが本日の内容です。
まずは、「同調圧力」と「新型コロナウイルス」について考えていきます。
なぜ、新型コロナウイルスの蔓延にともない、同調圧力が加速したのでしょうか。
私たちの多くが、新型コロナウイルスの蔓延にともない、テレワークへと切り替わりました。
社会人になって以来、毎日出勤してきた私にとって、とても大きな変化でした。
同時に、会社をマネジメントしている私にとって、このような環境でメンバーをマネジメントする経験は初めてでした。
同じオフィスで仕事をしていれば、顔を見るだけで「何か悩んでいるのだろうか」「どこにつまずいているのか」ということを、「観察」することができると思います。しかし、テレワークになり、必要な時以外に顔を合わせない環境で仕事をするようになると、なかなか「観察」というものがうまくいかず、マネジメントに苦労された方も多いと思います。
メンバーの立場では、今まで仕事を「観察」されることで、助けてもらっていた部分がなくなったと言えます。
これは、小さな報告や相談であっても、「メンバーが自発的に行う必要性が高まった」とも言えるのです。
私たちの多くが、顔を見合わせている環境、つまりは「管理」しやすい環境で仕事をしてきたからこそ、「仕事の多くを自分自身でマネジメントする」ということの難易度がとても高まりました。
このように、自分のことを自分で決める環境になったことで、営業担当者は自分の意見を持つことができたのでしょうか。
答えは、真逆です。
コロナ禍でのリモートワークは、多くの営業担当者が意思決定をする際に「周りの意見を気にする」ようになり、「メンバーの意見に合わせる」ようになっていったのです。
つまり、新型コロナウイルスは「同調圧力」を加速させる結果となったのです。
マネージャー視点でも考えてみましょう。
昨今のマネージャーも、「同調圧力」に苦しむ環境に陥ることがあります。マネージャーにとって、大きな役割の一つに部下メンバーの育成があります。メンバーを育成するためには、時には厳しく指導することが必要になることもあります。
しかし、「ハラスメント」に抵触しないかどうか、「360度評価」に大きなネガティブ要因にならないかなどを気にするあまり、「部下育成に本腰を入れることができない」という現状があります。
このような環境下では、マネージャーの多くが周りの目を気にするようになり、本来の目的である「部下育成のためのマネジメント」をするよりも、いかにミスなく失点の少ないマネジメントを遂行しようという思考に傾きやすくなります。結果として、「暗黙のうちに」周りのマネージャーに標準を合わせ、自分らしいマネジメントからかけ離れた言動をとってしまうことがあるのです。
これらに拍車をかけるように、新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが推進され、マネージャーの多くが「気軽に悩みを相談する」ことや「うまくいかないことを吐露する」ことができにくくなりました。
コロナ禍では、マネージャーを孤独にし、マネージャーに対する「同調圧力」を高めることにつながっているのです。
3. 必要な対策とは?
本書によると、コロナ禍で加速した「同調圧力」への対策法が3つあります。
1つ目:構造改革戦略
会社の仕組みを変えていくことを指します。
例えば、「副業解禁」は良い例です。会社という特定のコミュニティに属し続けるわけではなく、外の考え方も知ることで、特定の組織だけに通用する常識にとらわれなくなる可能性が高まります。
また、人材育成についても同じことが言えるかもしれません。
会社が負担して、社員の育成に投資することは、同時に転職のリスクも高めます。
なぜならば、能力が高まれば、会社の外で活躍する可能性や視野が拓けるからです。
しかし、私は、会社はメンバーの育成にさらに力を入れていくべきだと思います。
「副業解禁」と同じように、外からの学びは組織の同調圧力を抑止するきっかけになるかもしれないためです。
2つ目:適応戦略
個人として、ある特定のコミュニティに属さない、染まらないことを指します。
SNSは気軽で、気の合う仲間と出会うことも容易です。
しかし、その中にはまり続けると、知らないうちに特定のコミュニティの中でしか活躍できない人材になる可能性があります。
様々なコミュニティに顔を出すことで、「自分だけの意見」を持ち、それを世の中に発信していくことが、これからは重要になってくるのではないでしょうか。
3つ目:共存戦略
同調ではなく、協力が大切であることを指します。
本書によると、「同調」と「協力」は似て非なる言葉であると述べられています。
「同調」とは周りに合わせることですが、「協力」とは、困った人に手をかす自発的な助けのようなものです。
私たちには、周りの意見に合わせることよりも、能動的に周りを助けていく、共に生きていくという力が求められていくのでしょう。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、新型コロナウイルスが加速させた「同調圧力」について考え、私たちにできる「対策」について考えてみました。
コロナ禍によって加速した「同調圧力」ですが、私たちはこれらを学び対応していかなければなりません。
なぜならば、新型コロナウイルスが蔓延して以来、私たちの働き方は変わり、変わっただけでなく、テレワークというものが当たり前の世の中になりつつあるからです。
本コラムでご紹介した、3つの対策を確認し、個人でできることから始めてみましょう。
次回は、「第三回:営業組織・営業マネジメントの今後」をお届けします。
第一回目を振り返りたい方はこちらから「第一回 同調圧力の正体とその原因」。
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