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陽明学のすすめ~人間学講話「安岡正篤・六中観」~(深澤賢治著 2008年 明徳出版社)~変化の激しい時代をいかに生き抜くか~

こんにちは、石井です。

本日は、「陽明学のすすめ」というシリーズ本(計8冊)の第二回目です。

早速ですが、「陽明学」という学問を聞いたことはありますか?

陽明学とは、中国の明代に、王陽明という人物がおこした学問の1つです。

この学問は、時代を経てもなお、多くのビジネスパーソンに愛読されています。特に、陽明学からの学びを経営に活かして大活躍されている方も多いと言われています。

今回は、「陽明学のすすめ」シリーズの第二回目として、人間学講話「安岡正篤・六中観」をお伝えします。

第一回:経営講話「抜本塞源論」
第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」←今回はこちら
第三回:山田方谷「擬対策」
第四回:人間学講話「河井継之助」
第五回:人間学講話「渋澤栄一」
第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
第七回:人間学講話「佐藤一斎」
第八回:人間学講話「中江藤樹」

 

目次

    1. 「安岡 正篤」という人物

    安岡正篤氏は、1898年に現在の大阪府で生まれました。

    1868年が明治維新の年ですので、時代が大きく変わった最中に、この世に生を受けたと言えます。

    1983年に、86年の生涯を終えました。

    安岡正篤氏は、自身が小学生の頃に、陽明学を知ったと言われています。

    以来、陽明学をはじめ多くの学びを手にし、また自身も多くの書物や講演によって、学びを残しました。

    本著では、安岡正篤氏の学びへのスタンスを記載しており、

    「何かを学ぶときは、必ず原典を読み、かつ注釈を見ない」

    とのことです。

    原典を注釈なしで読むことは、相当な苦労があることは想像できます。しかし、彼にとっては、このような苦労した学びこそが、本当の学びであり、自分自身の血肉になるものだと感じているのでしょう。

    このような学びへのスタンスは、大いなる刺激になります。

    2. 弟子に語った言葉

    本著では、安岡正篤氏と弟子のエピソードが多く掲載されています。

    その中でも、ウシオ電機株式会社の創立者である牛尾治朗氏とのエピソードをご紹介します。

    当時青年であった牛尾氏は、安岡正篤氏のところに行って、社会に出たらやりたいことをたくさん話したそうです。

    すると、安岡正篤氏は下記のように答えました。

    治朗君、君はto do good―世の中の為に何か良い事をしたいと言うけれど、その前にto be good―まず己を磨け、でなければいけません。

    この言葉は、厳しくも安岡正篤氏の温かさが入った言葉であるように思えます。

    私たちビジネスパーソンは、「お客様のために○○をしよう」と意気込むことが多いですが、自分はどういうビジネスパーソンなのかということを問い、自己研鑽することも忘れてはなりません。

    3. 六中観とは?

    「六中観」とは、安岡正篤氏の座右の銘とされています。

    こちらを、本著にならって簡単にご紹介します。

    ・その1:忙中閑

    閑とは、閑静(かんせい)という言葉でもわかるように、静かな印象のある言葉です。

    安岡正篤氏によると、ただ閑であることは意味がなく、忙しい中での閑である必要があるとのことです。忙しい中でも、なお落ち着いた心を忘れてはなりません。

    ・その2:苦中楽

    楽なことは、苦しい中にあるという意味です。

    私たちビジネスパーソンにとって、苦しいことがたくさんあります。しかし、その苦しい中にこそ、本当のやりがいや楽しさがあるのではないでしょうか。

    ・その3:死中活

    死を見つめることは簡単ではありません。しかし、人間は必ず死にます。

    本著には、

    「死地に入って以外に活路が開ける」

    と書かれています。

    死ぬ気で仕事に打ち込むことで、見えてくるものがあるのかもしれません。

    ・その4:壺中天

    どのような現実生活を送っていても、心がけ1つで別の世界を見ることができるという意味のようです。

    やや解読が難しい言葉ですが、私たちビジネスパーソンにとって、常に物事を別の視点で捉えることや、違った角度から物事を見ることの大切さを語りかけてくれます。

    ・その5:意中人

    恋人のみならず、ビジネスにおいて共に仕事を進めるための人の選別は難しいものです。

    ビジネスパーソンは、数多くいますが、本当にパートナーと言える人はごく一握りでしょう。私たちは、誰と仕事をするかによって、その後が大きく変わっていくのです。

    ・その6:腹中書

    書物は、頭ではなく腹で理解するものであるという意義です。

    腹にある書物とは、「行動が伴っている」とも言い換えることができます。

    私たちは、ビジネスを進めていくために多くのことを学びます。しかし、その学びは行動が伴わないと意味がありません。

    4. おわりに

    いかがでしたでしょうか。

    今回は、第二回として安岡正篤氏について、また六中観をお伝えしました。

    陽明学というと、敷居の高いイメージがありますが、実際のビジネスでも活用できるイメージを持っていただけたのではないでしょうか。

    これからも、「陽明学のすすめ」シリーズでは、実際に陽明学を活かしてビジネスを成功させた方々の本をご紹介します。

    陽明学を活かして、良いビジネスを創り出していきましょう。次回は、第三回:山田方谷「擬対策」です。

    第一回:経営講話「抜本塞源論」
    第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」←今回はこちら
    第三回:山田方谷「擬対策」
    第四回:人間学講話「河井継之助」
    第五回:人間学講話「渋澤栄一」
    第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
    第七回:人間学講話「佐藤一斎」
    第八回:人間学講話「中江藤樹」

     

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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