陽明学のすすめ~山田方谷「擬対策」~(深澤賢治著 2010年 明徳出版社)~仕事を推し進める際に意識したい事柄~
こんにちは、石井です。
本日は、「陽明学のすすめ」というシリーズ本(計8冊)の第三回目です。
早速ですが、陽明学という学問を聞いたことはありますか?
陽明学とは、中国の明代に、王陽明という人物がおこした学問の1つです。
この学問は、時代を経てもなお、多くのビジネスパーソンに愛読されています。特に、陽明学からの学びを経営に活かして大活躍されている方も多いと言われています。
今回は、「陽明学のすすめ」シリーズの第三回として、山田方谷「擬対策」をお伝えします。
第一回:経営講話「抜本塞源論」
第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」
第三回:山田方谷「擬対策」←今回はこちら
第四回:人間学講話「河井継之助」
第五回:人間学講話「渋澤栄一」
第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
第七回:人間学講話「佐藤一斎」
第八回:人間学講話「中江藤樹」
目次
1. 山田方谷という人物
山田方谷氏は、1805年に現在の岡山県で生まれました。
親の教えもあり、学を志し、陽明学者として活躍しました。また、自ら政治・経済の改革も断行して、人々を飢餓から救いました。
本著では、彼の実績を下記のように紹介しています。
江戸末期に財務大臣・事務次官、そして内閣総理大臣として、粉飾決算を重ね破綻に瀕した国家経済を、七年余で破滅から免れさせた。(一部編集)
このような実績から、山田方谷氏は、生き神様と呼ばれていたそうです。幕末期に活躍した山田方谷氏ですが、1877年に享年73歳でこの世を去りました。
2. 擬対策とは?
擬対策とは、「対策を擬(なぞら)える」という意味になります。
本著では、山田方谷氏が施策を行う際に大切にしてきた擬対策を、一条から十七条まで紹介しています。
今回は、特に印象的だった3つを取り上げます。
その1:一条:盛世の要努
本著によると、「盛世の要努」で語られていることは、良い士を求めることです。
「良い士」とは、はっきりとした趣旨や命令を持って、自分に対してストレートに指摘してくれる人物です。
私たちは、ビジネスを円滑に進めていくためには、他者からのフィードバックが欠かせません。しかし、厳しいフィードバックを求める気持ちを常日頃から持ち続けることは容易ではありません。
何も意識しないまま過ごせば、いつも自分に良い評価をしてくれる人の近くで仕事をしてしまいます。
ただ、私たちビジネスパーソンがより成長するためには、クリティカルなフィードバックをしてくれる方々の存在が必要不可欠なのではないでしょうか。
その2:二条:常に書を読む
書を読むことが大切であることは、言うまでもありません。ここで注目したいことは、山田方谷氏の謙遜した態度です。
山田方谷氏は、自分は教養がなく無作法であることを自覚する気持ちを、常に持っていたそうです。
私たちは、何かを学ぶとき、このように謙遜した気持ちを持ち続けることがとても大切なのではないでしょうか。
ビジネスでうまくいっているときこそ、謙遜した気持ちで自分を見つめる余裕を持ちたいものです。
その3:七条:泰寧盛治
この条では、仕事に対する姿勢を説いています。
本著では、下記の現代訳が掲載されています。
実に泰平無事の極みであるけれども、寸暇を惜しんで政務(仕事)に励む者がいないという沙汰においては、今よりひどい時代はありませんでした。
これは、山田方谷氏が200年ほど前に残した言葉です。しかし、現代へのメッセージと言い換えても遜色ないのではないでしょうか。
私たちビジネスパーソンの多くは、十分と言える教育を受け、支援を受けています。その上で、私たちが社会に貢献できるのです。
恵まれた状況であればあるほど、寸暇を惜しんで仕事に励む姿勢を持つことは、難しいかもしれません。しかし、少しでもこのような意識を持つことは大切なのではないでしょうか。
3. おわりに
いかがでしょうか。
今回は、第三回として山田方谷氏について、また彼が大切にした擬対策の一部をご紹介しました。
本著では、詳しく擬対策について解説されているので、ぜひ気になった方はご覧ください。200年あまり前の言葉ですが、現代のビジネスパーソンにも刺さる言葉がたくさん見つかるはずです。
これからも、「陽明学のすすめ」シリーズでは、実際に陽明学を活かしてビジネスを成功させた方々の本をご紹介します。
陽明学を活かして、良いビジネスを創り出していきましょう。次回は、第四回:人間学講話「河井継之助」です。
第一回:経営講話「抜本塞源論」
第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」
第三回:山田方谷「擬対策」←今回はこちら
第四回:人間学講話「河井継之助」
第五回:人間学講話「渋澤栄一」
第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
第七回:人間学講話「佐藤一斎」
第八回:人間学講話「中江藤樹」
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。