【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑥(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~マネジメントとチーム作り~
こんにちは、石井です。
これまで複数回にわたって、P・F・ドラッカーの「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」を取り上げています。
本日はその第六回目として、「マネジメントとチーム作り」について考えていきます。
ドラッカーのマネジメントは、ややアカデミック性が高く、現場で応用するには一定の障壁があると考えられていることもあります。
そこで今回は、ドラッカースクールを卒業生である藤田勝利氏の著作「ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)」も参考にしながら読み解いきます。
第1回:マネジメントの基本と原則とは?
第2回:企業の目的とは?
第3回:戦略計画とは?
第4回:仕事の生産性とは?
第5回:仕事の働きがいとは?
第6回:マネジメントとチーム作り←今回はこちら!
目次
1. 仕事の働きがいとは?(前回のあらすじ)
ドラッカーは、
「働きがいを与えるためには、仕事そのものに責任を持たせなければならない」
と語っています。責任とは、自身が裁量権を持って仕事ができる範疇のことです。
株式会社アルヴァスデザインが提供しているマネジメントコンテンツ(ドラッカー学会理事の藤田勝利氏が監修)では、働きがいを4つの要素に分けています。
「ビジョンへの共感」「仕事への貢献実感」「メンバーとの協働実感」「自身の成長実感」です。
(※さらに詳しいメンバーの教育内容を知りたい方は、お問い合わせください。)
2. 人をマネジメントすること
ドラッカーは、組織の資産において「人」を特別視しています。
実際に、下記の言葉を本著で述べています。
- 人こそ最大の資産である
- 組織の違いは人の働きだけである
ドラッカーは、数ある資産(建物、土地、オフィス機器、テクノロジーなど)の中でも、なぜ人にフォーカスしたのかを、上記の①と②を軸に考えてみましょう。
3. ①人こそ最大の資産である
ドラッカーは、人の強みにフォーカスしたマネジメントをすることを強調しています。
それは、なぜでしょうか?
これに答えることは、すなわち「人こそ最大の資産」の真意をつくことになります。
そもそも、人は一人ひとり違ったスキルやマインドを持っています。当然のことながら、強みだけでなく、弱みも持ち合わせています。
このように十人十色のメンバーが集うのが組織です。裏を返せば、組織の目的達成に貢献するのがメンバーです。
このような状況において、メンバーの弱みにフォーカスをすることは、生産性を一定数高めることができたとしても、大きな飛躍をすることができません。
なぜならば、弱みを補うことで発揮される仕事の完成度は、それを得意とする人が発揮するものと比較すると、質・量ともに劣るからです。
そのため、メンバーの強みをいかんなく発揮できる状態を創り出すことがマネジメントに求められることなのです。しかし、弱みを無視しましょうというわけではありません。
ドラッカーは、下記のように語っています。
組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。
つまり、積極的に弱みを補うことばかりに気を取られることで強みを活かしきれないことは大きな問題であり、メンバーの強みを発揮し合うことを優先し、その結果として弱みが中和されることが大切であると述べているのです。
4. ②組織の違いは人の働きだけである
この世に、1つとして同じ組織はないはずです。
所属するメンバーが異なることはもちろんのこと、建物・土地・備品などの資産に加えて、それによって生まれる商品やサービスも異なります。
しかし、ドラッカーは「組織の違い」は「人の働きだけ」と強調しているのです。
その背景には、組織が異なっても人以外の資産は全て同じように使われるのに対して、人は全て違ったようにマネジメントされる、またはマネジメントされることが望ましいと言えるからです。
なぜならば、前述したように一人ひとりの強みが異なるからです。
自組織を形作っているものは、メンバーの強みそのものであるということを心に留めて、マネジメントしていくことがとても大切だと思わされます。
同時に、メンバーの強みを活かしたチームをいかに創り上げていくのかということが重要と言えます。
5. チーム作りの肝とは?
株式会社アルヴァスデザインが提供しているマネジメントコンテンツ(ドラッカー学会理事の藤田勝利氏が監修)では、チームのメンバーが強みを発揮し合うマネジメントをする上で、「価値観」を共有することが重要であると位置づけています。
人は、楽しいと感じることが得意であり、また得意なことを楽しいと感じることが多いと言えます。その楽しいと感じる背景には、その人が持っている「価値観」があります。
メンバー同士が互いに価値観を共有し合うことで、「それぞれのメンバーが何にワクワクするのか」を理解でき、互いの強みを活かした協力プレーが生まれやすい環境になるのです。
このような意味で、メンバー間の心の絆を醸成することはとても大切だと言えます。
6. おわりに
いかがでしたでしょうか?
本日は、ドラッカーのマネジメントにおけるマネジメントとチーム作りについて考えてみました。
組織には、さまざまな人が属しています。それぞれの強みと弱みは丸っきり異なります。
そのような中で、それぞれの強みを活かしたチームを作り、組織として最大の生産性を出すことが非常に大切です。そのためには、メンバーそれぞれの価値観を理解し合い、互いに協力していくことが不可欠になるでしょう。
次回はマネージャーの2つの役割を考えていきましょう。
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。