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【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑦(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~マネージャーの2つの役割とは?~

こんにちは、石井です。

これまで複数回にわたって、P・F・ドラッカーの「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」を取り上げています。

本日はその第七回目として、「マネージャーの役割」について考えていきます。

ドラッカーのマネジメントは、ややアカデミック性が高く、現場で応用するには一定の障壁があると考えられていることもあります。

そこで今回は、ドラッカースクールを卒業生である藤田勝利氏の著作ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)も参考にしながら読み解いきます。

第1回:マネジメントの基本と原則とは?
第2回:企業の目的とは?
第3回:戦略計画とは?
第4回:仕事の生産性とは?
第5回:仕事の働きがいとは?
第6回:マネジメントとチーム作りとは?

 

目次

    1. マネジメントとチーム作り(前回のあらすじ)

    ドラッカーは、組織の資産において「人」を特別視しており、とりわけ人が持つ強みにフォーカスしたマネジメントの大切さを強調しています。

    ①人こそ最大の資産である

    一人ひとり違う強みをチームの中で活かし、組織として成果を生み出す必要があります。

    弱みの全てを無視するわけにはいきませんが、大切なことは強みを見つめることです。

    ②組織の違いは人の働きだけである

    ドラッカーは「組織の違い」は「人の働きだけ」と強調しています。

    その背景には、組織が異なっても人以外の資産は全て同じように使われるのに対して、人はそれぞれ違ったようにマネジメントされる、またはマネジメントされることが望ましいと言えるからです。

    これらを意識した上で、チーム作りの肝となることは、メンバーそれぞれの「価値観」を共有することではないでしょうか。

    人は、楽しいと感じることが得意であり、また得意なことを楽しいと感じることが多いと言えます。その楽しいと感じる背景には、その人が持っている「価値観」があります。

    メンバー同士が互いに価値観を共有し合うことで、「それぞれのメンバーが何にワクワクするのか」を理解でき、互いの強みを活かした協力プレーが生まれやすい環境になるのです。

    このような意味で、メンバー間の心の絆を醸成することはとても大切だと言えます。

    2. マネージャーの2つの役割

    ドラッカーは、マネージャーの役割は2つあるとしています。

    1つ目は、「創造」です。

    チームをマネジメントする上で大切なことは、個々人が持つ能力の総和よりも、もっと大きな価値を生み出すことにあります。

    これは、前回の記事でお話した「メンバーの強みを活かす」ことに大きく関連します。マネージャーがしなければならないことは、メンバーの強みを掛け合わせることで、チームとしての生産性を高めることです。

    ここで、原点に戻りましょう。

    マネジメントとは、「なんとか~する」という動詞の意味を持っています。しかし、日本では「管理する」という訳が一般的に出回っています。

    しかし、「管理する」の英語はControlです。マネジメントとは、現状からさらに良いものを生み出すための役割なのです。言い換えると、マネジメントとは「創造する仕事」と言えるのです。

    2つ目は、すぐに必要とされるものと遠い未来に必要とされるものを調和することです。少し、理解することが難しい文章ですので、まずは具体例で考えてみましょう。

    ある営業組織では、期末まで残り一か月となりました。

    このようなシチュエーションでよくあることは、「割引をしてでも、多少強引になっても、期末までに商品やサービスを販売すること」です。

    確かに、これは短期的な目線で見れば必要なことかもしれません。期末の成績は、会社の評価に直結するためです。しかし、長期的に見れば「割引による強引な販売」はお客様とのリレーションを壊す可能性があります。

    このように、多くのマネージャーは短期と長期の意思決定のジレンマに悩まされることがあります。そのような時に、チームに意思決定の意味を伝え、メンバーをモチベートしていくことはマネージャーの役割の1つなのです。

    3. おわりに

    いかがでしたでしょうか?

    本日は、ドラッカーのマネジメントにおけるマネージャーの役割について考えてみました。

    ドラッカーのマネジメントの役割は非常にシンプルだと思います。

    1つは、「創造」にフォーカスすること。

    もう1つは短期と長期のバランスを取ることです。

    しかし、シンプルだけど実際にマネジメントをするとなると、もっとも悩ましい2つの観点ではないでしょうか。

    次回はマネージャーの仕事を具体的に考えていきましょう。
    >【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑧(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~マネージャーの5つの仕事とは?~

     

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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