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【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑧(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~マネージャーの5つの仕事とは?~

こんにちは、石井です。

これまで複数回にわたって、P・F・ドラッカーの「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」を取り上げています。

本日はその八回目として、「マネージャーの5つの仕事」を考えていきます。

ドラッカーのマネジメントは、ややアカデミック性が高く、現場で応用するには一定の障壁があると考えられていることもあります。

そこで今回は、ドラッカースクールを卒業生である藤田勝利氏の著作ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)も参考にしながら読み解いきます。

第1回:マネジメントの基本と原則とは?
第2回:企業の目的とは?
第3回:戦略計画とは?
第4回:仕事の生産性とは?
第5回:仕事の働きがいとは?
第6回:マネジメントとチーム作りとは?
第7回:マネージャーの2つの役割とは?

 

目次

    1. マネジメントの2つの役割(前回のあらすじ)

    ドラッカーは、マネージャーの役割は2つあるとしています。

    1つ目は、「創造」です。

    チームをマネジメントする上で大切なことは、個々人が持つ能力の総和よりも、もっと大きな価値を生み出すことにあります。「メンバーの強みを活かす」ことで、チームの生産性を高めることこそ、マネージャーの役割です。

    2つ目は、「すぐに必要とされるものと遠い未来に必要とされるものを調和すること」です。

    これは、短期的に達成が必要とされているもの、そして長期的に目指すビジョンの両輪を回すマネジメントを指します。

    2. マネージャーの5つの仕事とは?

    ドラッカーは、どの職種においてもマネージャーには共通の5つの仕事があると定義しています。順番に見ていきましょう。

    ・その1;目標を設定する

    組織をマネジメントすることで、組織目標を達成することがマネジメントの仕事の1つです。ただし、組織に与えられた目標数字を追いかけることだけに注力することは、マネジメントとは言えません。

    会社には理念やビジョンが存在し、それを達成するために存在しています。これらを達成するための手段の1つが組織の目標です。これらをメンバーにかみ砕いて説明することがマネージャーの仕事なのです。

    ・その2:組織する

    ドラッカーは、「組織する」ことをマネージャーの仕事としています。あまりにも単純で、見落としがちかもしれませんが、今一度「組織」について考えなおす必要があるかもしれません。

    「組織する」の元の英語は、Organizeです。この言葉の意味は、意図を持って人を集めることや、責任を持って調整することという真意があります(※和訳には解釈を含む)。

    つまり、メンバーそれぞれが互いに強みを持っていたとしても、ただそこに集まって仕事をするだけでは「組織」されている状態とは言えません。

    マネージャーの仕事として、メンバーの強みを活かし、メンバーの強みの総和よりも高い生産性を上げることが「組織」されている状態なのです。

    ・その3:動機づけとコミュニケーションを図る

    動機づけとは何でしょうか?メンバーは、何にモチベートされて仕事をするのでしょうか?

    マネージャーは、一人ひとり違うメンバーの動機に着目し、それを刺激しなければなりません。その1でご紹介した「組織の目標」と、いかにメンバーの働きがいを重ね合わせるかということが大切です。

    動機づけに関しては、ハーツバーグの動機づけ理論が有名です。人は2つの要因によって動機付けされているとしており、「衛生要因」と「動機づけ要因」です。

    詳しくは、元ハーバード大学の教授である故クレイトン・M・クリステンセンの著書「イノベーション・オブ・ライフ」を紹介したこちらの記事をご覧ください。
    >イノベーション・オブ・ライフ(クレイトン・M・クリステンセン 2012年 翔泳社) 仕事を通して幸せを感じるためのヒント

    さらにコミュニケーションとは何でしょうか。

    コミュニケーションとは、日本語では「意思疎通」です。分解すると、「意思」を「疎通」することがマネージャーの仕事です。

    つまり、定期的に1on1をやろうが、会議を開こうが、「意志」が「疎通」されていなければ意味がありません。これらの1on1や会議は1つの手段に過ぎません。

    マネージャーがメンバーに伝えたい「意図」は何か?メンバーがマネージャーに伝えたい「意図」は何か?これらの「意図」が「疎通」すれば、手段は何でも良いのです。

    ・その4:評価測定する

    メンバーの仕事を評価することはマネージャーの仕事の1つです。その際に思い出したいことは、第五回「仕事の働きがいとは?(リンク)」でご紹介したフィードバックです。

    メンバーに仕事の責任を与え、メンバーが主体となって仕事をします。その仕事に対して、メンバーにオーナーシップを持たせた状態で、客観的にマネージャーがフィードバックをすることが重要です。

    評価測定をする際には、事実ベースでのフィードバックを重要視しましょう。

    ・その5:人材を開発する

    ドラッカーは、マネージャーに「真摯であること」の大切さを説いています。

    真摯とは、愛想がよかったり、人付き合いが上手だったりすることで満たされるものではありません。

    メンバーに対して一流の仕事を要求すると同時に、自分に対しても高い基準を設定し、それを愚直にこなしていくことこそが大切です。人材育成の手法は、星の数ほど存在します。

    そして、メンバー一人ひとりの個性に合わせてマネージャーが育成するとなると、十人十色のやり方になるでしょう。

    その中で、大切なことは、育成手法を探すことよりも、まずはマネージャーが真摯でありメンバーから尊敬を集められる存在かどうかです。

    「さあ、メンバーを育てよう!」とする前に、メンバーにとって一緒に成長したマネージャーになれているかどうかが一番大切なポイントなのかもしれません。

    3. おわりに

    いかがでしたでしょうか?

    本日は、ドラッカーのマネージャーの5つの仕事について考えてみました。

    ドラッカーのマネージャーの5つの仕事は、シンプルですが考えるととても深い言葉ばかりです。

    私たち読み手に対して、深い洞察を求めます。だからこそ、その言葉を深く考えようとし、自分自身を見つめようとし、結果として自分というたった一つの資源を活かしたマネジメントが確立されていくのでしょう。

    次回はマネジメント開発について考えていきましょう。
    >【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑨(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~マネジメント人材の開発とは?~

     

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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