8つの観点で異文化マネジメントを考える
こんにちは、石井です。
私は、2017年より株式会社アルヴァスデザインにジョインしたメンバーで、営業・教育コンテンツ開発・講師登壇、そしてマーケティングなど幅広く仕事をしていきました。
現在は、イギリスにあるリーズ大学のビジネススクールのMBAコースに留学しています。留学期間は、2022年9月から約1年間です。
こちらの留学レポートは、不定期に更新し、イギリス現地のMBAコースでの学びや、国際交流などを配信していく予定です。
過去の記事はこちらです。
リーズ大学MBAの留学記スタートします。
寮の様子を公開しています。
「MBAでどのように学ぶのか」を学ぶ:その1
「MBAでどのように学ぶのか」を学ぶ:その2
キャリアを考える①:キャリアをどう考えるか?
キャリアを考える②:今の時代、履歴書はAIでチェックされると思いなさい。
ケーススタディで意識すべきこと①
ケーススタディで意識すべきこと②
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目次
1. 異文化マネジメントとは?
人は何かを思考する際に、育った環境による前提に、多くの影響を受けます。
異なる文化を持ったメンバーが、異なる思考をしたり、異なる考えに至ったりすることは、もはや当然の出来事です。
リーズ大学のMBAコースには、多くの国や地域から集まったメンバーが属しています。異なる文化を持ったメンバーが1つのMBAコースに集まっているのです。
MBAコースでは、多くのグループディスカッションやグループワークの機会があるため、自分と異なる文化を持つメンバーを、どのようにマネジメントしていくかを実践する場でもあります。
2. 戦略系のクラスの副教材
私が受けている戦略系のクラスの副教材の1つが、ハーバードビジネスレビューです。
クラスの内容に沿ったハーバードビジネスレビューの記事を3つ程度、事前に教授から配布されて読んでくるというものです。
今回は、冒頭に触れた異文化マネジメントについての内容で、特に学びが深かったため共有します。
異文化マネジメントというと、異なる国や地域のメンバーをマネジメントするときだけに使う知識と思われがちです。
しかし、今回学んだ8つの観点は、日々のマネジメントにもヒントになるはずです。
3. 8つの観点
異文化をマネジメントする上での8つの観点を見ていきましょう。
今回は、ハーバードビジネスレビューの2014年 5月号(※リンク挿入)を引用しており、私の解釈により日本語訳しております。
その1:Communicating(コミュニケーション)
「ハイコンテクスト」と「ローコンテクスト」という言葉を聞いたことはありますか?前者は、「言葉以外の表現に頼ったコミュニケーション」です。まさに、日本人が普段使っているコミュニケーションの取り方と言えます。
一方で、後者は「言葉だけに頼ったコミュニケーション」です。思ったことを伝え合うことで、互いの理解を深めるコミュニケーションの取り方です。
その2:Evaluating(評価)
評価を直接するのか、それとも間接的にするのかに着目した観点です。特に、ネガティブなフィードバックや評価をすることを想像してみてください。
ネガティブな評価をストレートにくだすことは、少し気が引けるから表現をマイルドにして伝えようとする、もしくは第三者を介入させることで直接伝えることは避ける方がいると思います。
一方では、例えネガティブなコメントであっても、直接言い合った方が良いと感じる方もいるのです。
その3:Persuading(説得)
他人をどのように説得するのかという観点です。
一般的に、西洋では論点を個別に分解するのに対して、東洋では論点の関連性を大切にする傾向にあるようです。
また、演繹的に、または帰納的に説得するというのもスタンスに大きな違いが現れます。
その4:Leading(リード)
他人をどのようにリードする(導く)のかという観点です。
大きく2つに分けることができ、1つがヒエラルキーに依存する考え方です。日本の上意下達な職場であれば、まさしくこれに当てはまります。もう1つが平等を重んじる考え方で、階級に依存せずに、他人を導こうとするスタンスです。
その5:Deciding(意思決定)
会社や組織の決定を、どのように下すかという観点です。
こちらも2つの軸に分けることができ、1つがトップダウンです。会社のトップ層、または組織長などが、決定を下しメンバーに通達するプロセスです。もう1つが、意思決定の旅にコンセンサス(同意)を取って決定していくスタンスです。
その6:Trusting(信頼)
メンバーをどのように信頼しているかを現した観点です。
日本の多くの企業では、メンバーとの関係を大切にして、その関係性を維持することに重きを置いていることがわかります。一方で、ジョブ型を採用している欧米の企業は、関係性よりもメンバーがどのくらいタスクを完了したかによって信頼度を変えます。Task-Based Trusting(タスク重視の信頼)という言葉が、それを現しています。
その7:Disagreeing(不一致への反応)
他人の意見に反対する際に、どのような対応をしていくのかという観点です。
日本では、例え他人の意見に反対であっても、正面からの対立は避けどのように事を決着させるかを考える方が多いように見受けられます。一方では、正面から対立して、互いの意見を戦わせるディスカッション(本来の意味でのDiscussionとは、AgreeとDisagreeの両面を話し合うことです)を好む方もいます。
その8:Scheduling(予定)
仕事の予定に関する観点です。(※時間通りに集まるかどうかという観点ではありません)
当初に立てた仕事の予定に沿って進めていきたいと考える方と、いつでもフレキシブルに変更していくほうが良いと考える方がいます。どちらかというと、日本のビジネス環境では前者の予定通り進めていくことを「良し」とする文化があるように感じます。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、異文化をマネジメントする上で知っておきたい8つの観点をご紹介しました。異文化マネジメントとなっていますが、日々のマネジメント(例え、異文化のメンバーをマネジメントしていない場合でも)にも活用できると思います。
次回は、8つの観点を踏まえて、どのようにマネジメントしていけば良いのか?といったマインドセットとスキルを考察します。
~イギリスであったこんなこと⑮~
リーズ大学では、時折「いわゆる富豪家系」の学生に遭遇します。
私の友達の一人も、そこそこの財産を持っていると思われる方がいます。その方が、先日「親に生活費を入金してもらうんだ~。」と言っていました。
ただ、事件発生です。その生活費が高額であったため、銀行側が「マネーロンダリング(資金洗浄)」の疑いをかけて銀行口座を差し止めしたのです。いくら富豪であっても、銀行口座が止まったら、お金を引き出せません。笑
石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。