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【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑫(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~新種のミドルマネジメントとは?~

こんにちは、石井です。

これまで複数回にわたって、P・F・ドラッカーの「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」を取り上げています。

本日は12回目として、「新種のミドルマネジメント」を考えていきます。

ドラッカーのマネジメントは、ややアカデミック性が高く、現場で応用するには一定の障壁があると考えられていることもあります。

そこで今回は、ドラッカースクールを卒業生である藤田勝利氏の著作ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)も参考にしながら読み解いきます。

第1回:マネジメントの基本と原則とは?
第2回:企業の目的とは?
第3回:戦略計画とは?
第4回:仕事の生産性とは?
第5回:仕事の働きがいとは?
第6回:マネジメントとチーム作りとは?
第7回:マネージャーの2つの役割とは?
第8回:マネージャーの5つの仕事とは?
第9回:マネジメント人材の開発とは?
第10回:目標管理をする上で大切なことは?
第11回:自己管理をする上で大切なことは?

 

目次

    1. 自己管理をする上で大切なこと(前回のあらすじ)

    ドラッカーは、「自己管理」についてこのような言葉を残しています。

    自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけでは十分ではない。目標に照らして、自らの仕事ぶりと成果を評価できなければならない。

    これらを可能にするのは、自ら情報を得る姿勢です。

    情報とは、観察によるものやデータによるものが想定されますが、他者からのフィードバックも大切です。自身の目標に照らし合わせて、セルフマネジメントをしていきましょう。

    2. 知識労働者の必要性と時代背景

    ドラッカーが、「ナレッジワーカー(Knowledge Worker:知識労働者)」という言葉を強調していたことは有名な話です。

    その背景には、時代の変化があります。

    産業革命以降、人々は工場に集まり、機械を動かすことによって商品を生み出しました。これによって、大量生産が可能になったわけです。

    この時代において、企業の勝ちパターンの1つは「より安いコストで大量にモノを作る」ということです。そのために、働き手に求められたことは、画一的な仕事をミスなくこなすことだったのです。

    この時代にぴったりとフィットしたマネジメントスタイルが、テイラーが提唱した「科学的管理法(Scientific Management)」です。産業革命以前、人々は自らの経験を元に、それを活かすことで商品を創り上げてきました。

    しかし、産業革命以降は、同じ商品を大量に作り出すことが企業にとっての勝ちパターンであったため、経験則ではなく科学的な管理がより重要だったわけです。

    では、現代社会はいかがでしょうか?

    現代でも、引き続き大手のメーカーを中心に、同一商品を大量に生産することでコストメリットを享受する戦略が実行されています。

    これを、規模の経済(Scale of Economics)と言い、それは、最小効率規模(MES: Minimum Efficient Scale)を求める戦略です。

    一方で、多くの企業ではこれを目指さずに、お客様一人ひとりにあった商品やサービスを提供するようになりました。このような戦い方で大切なことは何でしょうか。

    つまり、勝ちパターンは何か?

    それは、ドラッカーが提供する「知識による価値の創造」です。これを実行するためには、働き手が知識を持ち合わせなければなりません。現代社会では、知識こそ競争優位性につながる源泉であり、資産なのです。

    3. ミドルマネジメントの役割の変化

    働き手に知識が求められるようになるということは、当然のことながらミドルマネジメントも例外ではありません。

    今回は、ミドルマネージャー自身の知識ではなく、部下メンバーのマネジメントという観点からも「知識」を考えてみましょう。

    ドラッカーは、本書において下記のように述べています。

    伝統的なミドルは命令する人だった。これに対して、新種のミドルは知識を供給する人である。

    いかがでしょうか?

    伝統的なミドルとは、産業革命以降に工場で機械を資産として、多くの価値を生み出す場合のマネジメントに適しています。

    つまり、画一的な仕事を実施するために、マネージャーは部下メンバーに指示命令することが大切だったわけです。

    なぜならば、同じような品質の商品を創り上げるためには、同じような仕事をしなければならないからです。

    一方、新種のミドルとは、現代社会に求められるマネージャー像です。

    それは、部下メンバーに知識を「供給」する存在です。

    ここからは私の解釈ですが、「供給」する上で大切なことは、「メンバーの強みを見抜く」ということだと思います。

    なぜならば、マネージャーがいくら部下メンバーに知識を供給しても、それがコップからあふれ出る水のようでは意味がないからです。

    部下メンバーが強みを活かして、どのような仕事に貢献しているのか、または貢献する予定があるのかということを理解し、それを支援するための知識を供給しなければならないのです。

    4. おわりに

    いかがでしたでしょうか?

    本日は、ドラッカーのミドルマネジメントについて考えてみました。

    私たちは、変化の激しい時代を生きています。そして、画一的な商品を創れば売れるという正解がない時代でもあります。

    この時代を生き抜くためには、企業にとって知識を供給するミドルマネジメントの役割が欠かせないと思います。

    顧客を創造することを、ドラッカーは、原書において”to create a customer”と表現しています。注目しなければならないことは、「一人の顧客 (a customer)」です。

    一人ひとり異なるニーズがあり、それを満たすためには、私たち商品やサービスを提供する側の知識が求められるのです。

    次回は「組織マネジメント」を考えていきましょう。
    >【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑬(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~組織マネジメントの要諦とは?~

     

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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