【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑭(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~マネジメントの意思決定~
こんにちは、石井です。
これまで複数回にわたって、P・F・ドラッカーの「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」を取り上げています。
本日は14回目として、「マネジメントの意思決定」を考えていきます。
ドラッカーのマネジメントは、ややアカデミック性が高く、現場で応用するには一定の障壁があると考えられていることもあります。
そこで今回は、ドラッカースクールを卒業生である藤田勝利氏の著作「ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)」も参考にしながら読み解きます。
第1回:マネジメントの基本と原則とは?
第2回:企業の目的とは?
第3回:戦略計画とは?
第4回:仕事の生産性とは?
第5回:仕事の働きがいとは?
第6回:マネジメントとチーム作りとは?
第7回:マネージャーの2つの役割とは?
第8回:マネージャーの5つの仕事とは?
第9回:マネジメント人材の開発とは?
第10回:目標管理をする上で大切なことは?
第11回:自己管理をする上で大切なことは?
第12回:新種のミドルマネジメントとは?
第13回:組織マネジメントの要諦とは?
目次
1. 組織マネジメントとは?(前回のあらすじ)
ドラッカーは、組織マネジメントをする上で4つのポイントを述べています。
- その1:成果にフォーカスする
- その2:機会を捉える
- その3:人事の決定は組織の価値観を重視する
- その4:人事の決定は真摯さこそが大切である
また、ドラッカーは、組織をマネジメントする上では天才に頼ることなく、メンバーそれぞれの強みを最大限に活かしたチーム作りの大切さを強調しています。
2. 意思決定で大切なこと
ドラッカーは、本書において「意思決定」に関する示唆をいくつも述べています。
今回はその中でも、特に強調されるべき事柄に絞ってお伝えします。
・その1:意見の相違を知る
マネジメント層が意思決定をする際に、マネジメント同士またはメンバーに対しての意見を求めることは一般的な働きかけでしょう。
その過程で注意しなければならないことは、「自身と他者の意見が異なるとき」です。ドラッカーは、下記の言葉で意見の相違に対するマネジメントのあるべき姿勢を述べています。
ある案だけが正しく、その他の案はすべてまちがっていると考えてはならない。
私たちのビジネスに正解はありません。
経験や知識に勝るマネジメント層が、メンバーよりも適格な解を持つことは珍しいことではありません。しかし、メンバーの意見が間違っているとも限りません。
マネジメント層は、メンバーの意見と共に、その意見を持った背景にまで想いを馳せることで関心領域を探り、仕事を創造していくきっかけを見つけなければならないのです。
・その2:意見を対立させる
ドラッカーは下記の言葉で、互いの意見を対立させることが意思決定において重要であると強調しています。
意思決定における第一の原則は、意見の対立を見ないときには決定を行わないことである。
いかがでしょうか?意見の対立がないときは、決定さえ行わないというのがドラッカーの考えです。
私自身が、イギリスのリーズ大学のMBAコースで学んでいますが、教授陣は頻繁に「クリティカルであれ!」という言葉を述べます。
これは、自身の意見がすべて正しいと思わずに、対立する意見を組み入れることの重要性を述べているのです。
・その3:決定へのフィードバックを求める
意思決定がなされ、行動に移った場合であっても、その後、忘れてはならないことはフィードバックです。ドラッカーは、下記の言葉を残しています。
優れた意思決定さえ結局は陳腐化する。
いかがでしょうか?ビジネスは常に変化しています。そのため、いくら素晴らしい意思決定をしたとしても、いつかは陳腐化するのです。
そのため、意思決定の後に、それが正しかったのか、実際に実行してみてどうだったのかという目線でフィードバックをもらうことは大切なのです。
3. おわりに
いかがでしたでしょうか?
本日は、ドラッカーのマネジメントの意思決定について考えてみました。
マネジメントの仕事は、意思決定の連続です。常に何かしらの意思決定を実施し、メンバーと共に行動しています。
意思決定をする際に大切なことは、意見の対立を促すことであり、意思決定の後のフィードバックをもらい次の行動につなげることです。
皆さんの現場での意思決定のヒントになれば幸いです。
次回は「マネジメントとコミュニケーション」考えていきましょう。
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。